甘々とロマンス中毒
“心のシャッター”どころではない。

柔らかくて、艶々な蜂蜜色の髪は春先、何度も画面の向こう側で瞳に焼き付けたから。

「わぁ…っ」微かな声が夏の夜風に攫われる。

金髪になったあやちゃんへの、ときめきゲージは急上昇。スマホのカメラに納めてしまいそう。

長い前髪は今風にふわっと外ハネにセンター分けされており、お洒落上級者にしか合わない、シルバーを縁取った丸い眼鏡もお召しになっていらっしゃいます。

身動き取らずに固まったまま、スマホを両手に持ち上げていると、視界の端であやちゃんの手が左右に流れる。

そうして、ゆっくりとスマホが顎下まで下げられた。


「俺、こっち」

「はいっ」

「……なんですけど」

「……………」

うわぁ。ビジュアルえぐいです。

「あやちゃ……髪!?(きゃあああっ)」

「夏の期間限定」

くす、と王子さまの悪戯な唇に、甘い笑みが残った。王子さまから発せられる言葉に、くらくらする。

「いつの間に染めたの…?」

「さっき、染めて来たばっか。これ見せんの、一咲が初めてだわ」


「すぐ黒髪に戻すよ」と、あやちゃんは言う。
だめっ、と、胸中でころんとワガママな欲望が落っこちた。拾って恋心のポケットに隠す。すぐに切り替えできた。

期間限定のあやちゃん、いっぱい見ちゃお…!
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