甘々とロマンス中毒
二人きり、気まずい。……でも、あやちゃんに戻って来てほしくない気持ちもあって、とても矛盾している。

「あーーっ!」

菫花さんが特段、大きな声を発した。驚いた私の肩も大きく跳ねる。

ゆらり。流れる伏せた睫毛を上げた。

「ダメだったぁ。難しい…」

悔しがる菫花さんの眉尻は垂れて、頬が丸まったり、唇の端が結ばれたり、表情がころころ変わって。初対面の可憐で上品な印象と異なって、可愛いが上回る。

こと、と私は首を左へ倒した。

「…………」

横顔も綺麗だなぁ。

切り揃えた薄めのぱっつん前髪と、纏まったポニーテール。リップと合わせたキャンディピンクなほっぺ。有名ブランドのロゴが左胸に刺繍された白シャツと、ブルーのデニムパンツのシンプルなコーデ。

女の子の憧れを詰め合わせた、そんな人。


「今日……」

「?」

「あやみくんが、よく使ってるラウンジの近くまで来たから、会えるかもって思って行ったら、会えたんだけど」

え!?あやちゃんいたの!?
私、知らなかった。あやちゃん、そんなこと言ってないよ……?


突然の告白に狼狽える私の口はぽかと開いたけど、呼吸を整えた後、ぎゅ…と柔く噛んだ。

胸の鼓動が速まる。鼻の先がじんわり痛い。目頭も熱い。わかんないけど、目に留まる景色が滲むの。

「(ずっと、一咲ちゃんのこと見てた。……あやみくん、この子の彼氏になっちゃうんだ)」
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