あの花火をまたあの病室で

✺⋆*9 幻聴

俺は爪先からゆっくりと足をつける。

冷たいけど気持ちいい
上からの夏の日差しで暑い、けど海に入っている足は真逆で冷たい。

足元を見ていた顔を上げ水平線で終わりの見えない宝石を見つめる。
眩しい…この眩しさはあそこと変わらないな…。
そう展望台から見た景色を思い出しながら海を見つめる。


ぼーっと海を眺めていたら不意に懐かしい声が聞こえる。
夏華の声に似ているな…。1番に夏華の顔が浮かんで。
って俺どんだけ会いたいんだよ。そう自分を自分でつっこんでしまった。

だから考えるのをやめようとする。
けど後ろから呼ぶ声がするからか、頭からあいつの顔がいつまでたっても消えなかった。

とゆうかさっきから呼んでるの誰だ?颯兄さんの声ではない颯兄さんはこんなに声高くないし…。
考えていると

「無視酷くない!?」
声の主はずっと頭から離れなかった、急に姿を消した夏華だった。

「は!?」
まさかの登場に思わず声をあげてしまう。幻聴じゃねかったのかよ!
口には出さないけどこの15年間で一番驚いたんじゃなかと思った。
つい驚いたのと砂浜に足を取られてしまい尻餅をつきそうになり濡れることを覚悟しながら目をつぶると

パシッ
そう誰かに腕を掴まれた。

「あっぶな!」
恐る恐る目を開けると驚いてけど、
どこか嬉しそうに病院で見た笑顔とはまた少し違うような顔をした夏華が俺の目に映った。

「大丈夫??」
俺を引っ張り上げながら聞いてくる夏華。数日会ってなかっただけなのにすごく懐かしさを感じながら
「あぁ大丈夫」そう答える。
な、何話そう…。
聞きたいことは山ほどあったはずなのに本人を目の前にして何から聞けばいいのかわからなくなってしまった。

「腕ほっそ…」
先程握った俺の腕を見ながらつぶやく夏華

「そうか?」
俺的にはこれ普通だと思っていた。他の人の腕なんて見ないし、

俺の返事に驚いたのか夏華は白い薄手のカーディガンの袖をまくり始めた。

「だってほら」そう言って俺の腕の横に自分の腕を添える夏華。

その腕と自分の腕を見てたしかに本来なら身長が10センチほど高い俺の方が大きいはずなのに。

実際の俺の腕は夏華より細く真っ白で色が悪かった。
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