あの花火をまたあの病室で

✺⋆*8 初めての海

その後颯兄さんは外出許可書や自分の休暇をとったりしてくれた。
そして今日は颯兄さんが休暇を取れた日。

「ハルキーいけるかー?」
サンダルに白いTシャツ、淡い紺色のジーンズを着た私服姿の颯兄さんがドアから顔を出していう
「うん、いける」
「おーじゃあいくぞー」

そう言って颯兄さんの車に乗り込み目的地である海に行く。
エンジンを颯兄さんがかけた時
「ねえ窓開けていい?」
そう聞いた。車に乗るなんてほぼ初めてだから車に乗った時窓を開けて風に当たってみたかった。
「んーいいぞ〜」
颯兄さんは快く許可をくれた。

気持ちいい…。窓を開けて大きく息を吸って顔全部で風をあたる。
そんなふうな感じで十分ほど走って風に当たってると
「潮の匂いが強くなった」
「おぉよく気がついたな、もうすぐ着くぞ〜」
もうすぐ…
やっと念願の海に行けるんだ。そうワクワクしながら風をあびる。




「ついたぞ〜」
そう言ってシートベルトを外しながら言う颯兄さん。
俺もなるべく急いでシートベルトを外し車から降りる。そして俺の目に映ったものを見て思わず黙り込んでしまった。

「これが海…」
この日俺が初めて海を近くで見た日だ。
「んー!気持ちいなぁ!」
そう言って背伸びをする颯兄さんを横目に俺は海に引き込まれていた。
「降りるか!」少しして準備ができた颯兄さんがそう言って階段をおり砂浜に初めて俺は足をつけた。

「うわ!」
「おお気を付けろよ足元取られやすいから」
もう少し早く行って欲しかった…そう思いながら立ち上がりゆっくり一歩ずつ歩く。

ザァーザァー
これが波の音…いい音…。そう俺は目を瞑って音を体で聞く

「ハルキー足だけなら入ってもいいぞー」
そうパラソルの下に敷いたレジャーシートに座って本を広げた颯兄さんが言う
「あぁわかったー」
後ろを向き大きな声で聞こえるように言って俺は恐る恐る海に向かってまた歩き出す。
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