メロンクリームソーダトライアングル

 不安を抱えながら校舎に入る。



「若葉、おはよ」



 背後から大好きな声が聞こえ、しまおうとしていた靴を落としそうになってしまった。



「あっ甘音くん、おはよ」



 甘音くんの顔をさりげなくチラ見。

 今朝も変わらず穏やかスマイルを僕に向けてくれていて、心が安眠枕を抱きかかえる。


 そうだよね、僕は告白なんてしていないよね。

 もし記憶喪失になる前の僕が恋心を伝えていたのなら、甘音くんだって気まずくて僕と距離をおくだろうし。



「頭を打ってから1週間以上たったけど、痛いところはない?」

「大丈夫だよ、心配かけて本当にごめんね」

「幼なじみなんだから心配くらいさせてよ。若葉って痛みを我慢しちゃうところがあるから、ほんと無理しないでね」

「ありがとう」



 腕を優しくぽんぽんされた。

 嬉しいはずなのに心臓がしめつけられるのは

『甘音くんには彼女がいる。彼女にはバニラアイスみたいな極上に甘い言葉をかけるんだろうな』

と、敗北感に襲われてしまったから。


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