メロンクリームソーダトライアングル

 使えないスマホを胸ポケットにねじこむ。

 何も考えたくなくて瞳を閉じたが、違和感を察知した脳がもう一度スマホを握れと訴えはじめた。

 再び若葉のメッセージ画面を開き、一心不乱に指でスクロールする。

 若葉が記憶喪失になる直前に俺が送ったすべてのメッセージに、既読がついてる。

 見間違いなんてことはない。

 俺の網膜が鮮明に文字を捕えているんだ。


 
 スマホが使えるようになったんだね。

 ロック解除の番号を思い出したということは、記憶が戻った、もしくは記憶の一部分だけが蘇ったというだろう。
 
 
 ――どちらにしろ良かった。


 自分のスマホをじんわりと温まっていく心臓に押し当てる。

 ただ好きな人の回復を心から喜べる優しい王子様でいられたのは、たった数秒だった。


 ――若葉、なんで?


 俺の中に住み着く荒ぶった感情の悪魔が、心に尖った槍を突き刺してくる。


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