ハル
玄関の引き戸に鍵を差し込んで「おじゃましまぁす」と小声で声をかけるけれど、もちろん返事はない。
おじいちゃんは死ぬ5年前におばあちゃんが病気で他界し、それからひとり暮らしになったけれど、家の中は随分をキレイに掃除されていた。
きっと、おばちゃんがしてくれたんだろう。
空気が籠もっている匂いがするだけで、ホコリが積もっているような箇所もない。
ホッとして奥へ進んでみると、見覚えのあるドアが現れた。
「ここっておじいちゃんの仕事部屋だっけ」
幼かった頃の記憶が蘇ってくる。
私はここでおじいちゃんの作業を興味津々で見ていたことがある。
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