ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
給湯室での一件以来、雄平とは一度も顔を合わせていない。
ある程度の効果はもう出ているのかもしれない。単にタイミングが合わないだけという気もするし、元々雄平とは部署もフロアも違うから、頻繁には接触しない。あの日待ち伏せされていたのも、ああでもしない限り、私たちが顔を合わせる機会はほぼなかったからだ。
けれど、きっとそれだけではない。
沓澤代理から告げられた条件のひとつ、〝しばらくの間〟という話を思い出す。
その言葉を言葉通りに信じるなら、この関係はいずれ解消となる。周囲の好奇心まみれの視線は少々堪えるものの、それまでの辛抱だ。
それに、沓澤代理がそれなりに柔軟な姿勢を見せてくれることも、無理にこの関係を解消しなくてもいいかなと思ってしまう要因だった。
『あのう、同期に事情を伝えてもいいでしょうか……』
『いいよ。総務の宮森だろ』
『えっ? い、いいんですか?』
『付き合ってないっていう噂にはしないでもらえるなら、別に構わない』
付き合っているのかもしれないし、付き合っていないのかもしれない。
そのくらいの、微妙に決定打に欠ける情報のほうが噂として広まりやすい。そうやって噂が広まれば広まるほど助かる……だそうだ。
ある程度の効果はもう出ているのかもしれない。単にタイミングが合わないだけという気もするし、元々雄平とは部署もフロアも違うから、頻繁には接触しない。あの日待ち伏せされていたのも、ああでもしない限り、私たちが顔を合わせる機会はほぼなかったからだ。
けれど、きっとそれだけではない。
沓澤代理から告げられた条件のひとつ、〝しばらくの間〟という話を思い出す。
その言葉を言葉通りに信じるなら、この関係はいずれ解消となる。周囲の好奇心まみれの視線は少々堪えるものの、それまでの辛抱だ。
それに、沓澤代理がそれなりに柔軟な姿勢を見せてくれることも、無理にこの関係を解消しなくてもいいかなと思ってしまう要因だった。
『あのう、同期に事情を伝えてもいいでしょうか……』
『いいよ。総務の宮森だろ』
『えっ? い、いいんですか?』
『付き合ってないっていう噂にはしないでもらえるなら、別に構わない』
付き合っているのかもしれないし、付き合っていないのかもしれない。
そのくらいの、微妙に決定打に欠ける情報のほうが噂として広まりやすい。そうやって噂が広まれば広まるほど助かる……だそうだ。