ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
第3章 フェイクガール、××される
《1》抵抗しない理由
フロアの一角――まれに個人あての来客があったときなどに使用するフリースペースで続くミーティングは、かれこれ始まってから二時間が経過していた。
テーブルをふたつ繋げた奥側に沓澤代理、その隣に三浦さんという中堅に差しかかった男性スタッフ、そしてそれぞれの対面に若手の二名といった面子だ。
最初は課長も交えての部署内ミーティングだったものの、元々外出予定のあった課長は早々に席を外した。
当初こそ穏やかに進められていたそれは、今、かなり怪しい雲行きになってきているようだ。同じフロア内とはいえ、離れた場所で事務業務を進めている私にも分かる程度には、全員が揃いも揃って顔をしかめたり眉を寄せたりと不穏な雰囲気だ。
時刻はとうに午後五時を回っている。
このまま時間外まで続くのだろうか。遠巻きにミーティングの様子を眺め、私はノートパソコンへ向かう。あの横を堂々と突っ切って帰るのは気まずいな、と考えていると、不意に沓澤代理から声がかかった。
「那須野さん。ちょっとこちらにいいですか」
「え? は、はい」
この流れで自分が呼ばれるとは思っていなかったから、声が上擦ってしまう。
テーブルをふたつ繋げた奥側に沓澤代理、その隣に三浦さんという中堅に差しかかった男性スタッフ、そしてそれぞれの対面に若手の二名といった面子だ。
最初は課長も交えての部署内ミーティングだったものの、元々外出予定のあった課長は早々に席を外した。
当初こそ穏やかに進められていたそれは、今、かなり怪しい雲行きになってきているようだ。同じフロア内とはいえ、離れた場所で事務業務を進めている私にも分かる程度には、全員が揃いも揃って顔をしかめたり眉を寄せたりと不穏な雰囲気だ。
時刻はとうに午後五時を回っている。
このまま時間外まで続くのだろうか。遠巻きにミーティングの様子を眺め、私はノートパソコンへ向かう。あの横を堂々と突っ切って帰るのは気まずいな、と考えていると、不意に沓澤代理から声がかかった。
「那須野さん。ちょっとこちらにいいですか」
「え? は、はい」
この流れで自分が呼ばれるとは思っていなかったから、声が上擦ってしまう。