ビタースイート・ドロップ~次期社長の甘い嘘~
私が資料を眺めている間も、三浦さんは、常務の意見に対して否定的な発言を繰り返していた。
常務の案は、老舗としての風格を色濃く残す案だ。三浦さんの名前が入っているほうの案とは対照的で、けれどコンセプトとしては常務の案のほうが手堅い印象を受ける。
ふと視線を上げた先で、沓澤代理と目が合った。
普段と同じ薄い微笑みに見えるのに、目元はいつもより楽しげだ。逸らすようにまた資料へ視線を落とした矢先、沓澤代理が声をあげた。
「時間もそんなにないな。どう、那須野さん? ひと通り眺めてみて」
「……はい。だいたいは理解しました」
「では意見を聞いてみましょうか」
四人の視線が再び私に集まる。
現在の営業課は、自分以外の全員が男性スタッフだ。この手の緊張には慣れているものの、どうしても息が詰まりそうになる。
「率直な意見を聞かせてください。もちろん、ここにいる誰にも遠慮する必要はありません」
穏やかな声だった。緊張を察しているような。
はい、と返事をし、私はゆっくりと息を吸ってから口を開いた。
常務の案は、老舗としての風格を色濃く残す案だ。三浦さんの名前が入っているほうの案とは対照的で、けれどコンセプトとしては常務の案のほうが手堅い印象を受ける。
ふと視線を上げた先で、沓澤代理と目が合った。
普段と同じ薄い微笑みに見えるのに、目元はいつもより楽しげだ。逸らすようにまた資料へ視線を落とした矢先、沓澤代理が声をあげた。
「時間もそんなにないな。どう、那須野さん? ひと通り眺めてみて」
「……はい。だいたいは理解しました」
「では意見を聞いてみましょうか」
四人の視線が再び私に集まる。
現在の営業課は、自分以外の全員が男性スタッフだ。この手の緊張には慣れているものの、どうしても息が詰まりそうになる。
「率直な意見を聞かせてください。もちろん、ここにいる誰にも遠慮する必要はありません」
穏やかな声だった。緊張を察しているような。
はい、と返事をし、私はゆっくりと息を吸ってから口を開いた。