大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。

「ごめんね?」

 そっと、穂高の頬に触れた。触れたところがすごく熱いことが分かる。
 指先で軽く頬を包むようにして、自分のほうへ引き寄せる。

(あぁ、今……キスしたい)

 ほんの数センチ、自分から距離を縮めようとして、一瞬早く穂高のほうから唇が重なった。

 軽く触れたはずなのに、全身に熱が広がる。

 何年分も固まっていた氷が溶かされていくような感覚だった。
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