大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
「でも……それ、私も母も関係ないよね?」
「は? 責任感なさ過ぎだろ。一度勤めたら勤め上げる、結婚したら死ぬまで面倒を見る。それが当たり前。できてないお前ら親子のせいだっつってんだよ!」
大きな声に体が跳ねる。
それでもじっと彼の顔を見て、平静を装い、睨みをきかせた。
匡輔は、ふん、と鼻を鳴らし、椅子に座り直す。
少しして懐柔するように、声を和らげた。
「ひとり暮らしなんだし、俺がいたって別に困らねぇだろ?」
「困るよ。普通に困る」
「夫婦だったじゃん」
「元、でしょ。今は赤の他人」
「いや、情くらいあるだろ。愛がなくてもさ」
……完全に話が通じてない。
私は来たばかりのコーヒーに触れず、伝票を持って立ち上がった。