大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
 ひとけのなくなった廊下を、私は穂高と並んで歩く。
 隣の穂高を見上げた。

「あ、あのさ、ほんとに私でいいの?」

 穂高は立ち止まり、私の頬にそっと手を置いた。
 そしてまっすぐな瞳を向ける。

「今さら何言ってるの。千紘がいいんだ。千紘でないと嫌なんだよ。もう撤回はさせないからね。これから千紘は幸せになる覚悟をちゃんとしてね」

 穂高はそう言って、心底嬉しそうに目を細める。
 私は頬に置かれた手の上に自分の手を置き、キュ、と握る。

「うん。でも、穂高こそ幸せになる覚悟をしておいてよ!」

 私が宣戦布告すると、穂高は楽しそうに笑った。
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