大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
私はそっとキッチンに近づいて、そんなふたりの背中を眺める。
子どもが生まれてから、穂高はさらに柔らかい表情をするようになった。私はそんな穂高をそっと見るのが好きだった。
笑顔で見ていると、穂高が私に気づく。
「千紘、起きたのか? おはよう」
「おはよー! ママ!」
「おはよう二人とも」
私はそっと和穂の頭を撫でる。
穂高は、私の顔を見て優しい声で聞いた。
「千紘、濃いコーヒー淹れようか? 少し寝不足だろ」
「ありがとう。そんなに寝不足って分かる?」
私は恥ずかしくなって目元を隠す。
穂高はそんな私の頭を撫でた。
「分かるよ。昨日は遅かったしな」
「研究が大詰めで……。和穂を任せちゃってごめんね」
「俺も出張のときは任せっぱなしだろ。それに、どうしようもないときは島さんがいるし」
ふっと穂高が笑う。私もつられて頷いた。