大好きだった元彼と再会しましたが、私はもう結婚しています。
そんなある夜――。
「桐沢、今日も帰り遅いのか?」
夜遅くまで残業していると、穂高が声をかけてきた。
彼は遅い時間になると必ず声をかけてくる。
「あとちょっとだけ……このデータをまとめて帰ります。部長お先にどうぞ。ちゃんと電気消して帰りますので」
「桐沢のちょっとだけって言葉は信用ならない。はい、強制終了」
「え、ま、まだ……」
「倒れられると困るんだ、俺が」
一瞬、心臓が跳ねた。
いや、これって間違いなく仕事で困るってことだよね。
それは分かっているのに、穂高にそんなことを言われると、胸の奥が勝手に熱くなってしまって、それから素直に彼の命令を聞いてしまう自分が無性に恥ずかしかった。