隣の席の君に恋をした。地味な私を好きにならないでよ、朝倉くん
第24話 バイバイしたくない気持ちが、近づけた距離
指先つなぎで帰った帰り道。
わたしの家が近づくにつれて、胸の奥がぎゅーっと苦しくなってきた。
もうすぐ離れなきゃいけない。
そう思っただけで寂しかった。
「……ここ、だよね。紬の家」
「うん……」
門のすぐ前。
玄関の電気がほんのり灯っていて
風の音しか聞こえなかった。
「じゃあ、また明日」
陽斗はふんわり笑ったけど
その笑顔はどこかためらっていた。
わたしも小さく「うん」と返したのに
なかなか足が動かなかった。
「……帰らないの?」
「陽斗くんこそ……」
「俺は……もう少しいたいけどな」
「っ……!」
その一言だけで、心臓が跳ねた。
「紬は? 早く家入りたい?」
「……入りたくないかも」
「じゃあ立ってよ」
「えっ……?」
「別に、邪魔にならないだろ。紬の家の前だし」
陽斗は手をポケットから出して
わたしのほうへゆっくり差し出した。
「もう、指先だけじゃ足りない」
ドキッとした。
差し出された手に触れると
陽斗はすこし笑って、指を絡めてきた。
手のひら同士がちゃんと触れる。
その感触だけで
胸がじんわり熱くなる。
「……ねぇ紬」
「なに……?」
「今日、ずっと思ってた」
陽斗が一歩近づく。
顔の距離が、昼間よりずっと近い。
「バイバイしたくねぇ」
「……わたしも」
つい、素直に言ってしまった。
陽斗の目が一瞬、揺れた。
その揺れが優しくて、息が止まりそうになった。
「……紬」
「うん……」
手をつないだまま
陽斗がわたしの頬にそっと触れた。
親指で、髪の横をやさしくなでる。
心臓が壊れそう。
「なんか、今なら……」
「……っ」
「キス……できそうな気がする」
耳元で低い声が響いた瞬間
世界が一瞬で静まった。
陽斗の顔がゆっくり近づく。
唇の距離が、みるみる縮まっていく。
「よ、陽斗くん……待って……」
「待つけど」
「ま、まだ……心の準備が……」
「俺もまだだけど……」
そう言いながらも
陽斗の指はわたしの頬に添えられたままだった。
その優しい温度が
怖い以上に、安心させる。
「紬が嫌ならしない。でも……」
「……?」
「嫌じゃないって分かってるから、たぶん……俺止まんない」
「っ……!」
陽斗の額が、そっとわたしの額に触れた。
キスじゃない。
でもキスの直前みたいに、胸がぐらぐら揺れる。
「……今日はここまで」
「え……?」
「紬が可愛すぎて、これ以上やったら……俺が絶対後悔する」
陽斗は息を吐きながら、ゆっくり距離を離した。
でも手はつないだまま。
「紬。好き」
「……わたしも」
その返事を聞いた陽斗は
ほっとしたみたいに笑った。
「じゃあ……今度ちゃんとキスする。逃げんなよ?」
「逃げない……」
「約束」
指先をきゅっと重ねたまま
ゆっくり手を離していく。
離れた瞬間、胸がきゅっと痛くなった。
それでも、どこか甘くて幸せな痛みだった。
「おやすみ、紬」
「……おやすみ、陽斗くん」
家に入っても
胸の鼓動はしばらく止まらなかった。
わたしの家が近づくにつれて、胸の奥がぎゅーっと苦しくなってきた。
もうすぐ離れなきゃいけない。
そう思っただけで寂しかった。
「……ここ、だよね。紬の家」
「うん……」
門のすぐ前。
玄関の電気がほんのり灯っていて
風の音しか聞こえなかった。
「じゃあ、また明日」
陽斗はふんわり笑ったけど
その笑顔はどこかためらっていた。
わたしも小さく「うん」と返したのに
なかなか足が動かなかった。
「……帰らないの?」
「陽斗くんこそ……」
「俺は……もう少しいたいけどな」
「っ……!」
その一言だけで、心臓が跳ねた。
「紬は? 早く家入りたい?」
「……入りたくないかも」
「じゃあ立ってよ」
「えっ……?」
「別に、邪魔にならないだろ。紬の家の前だし」
陽斗は手をポケットから出して
わたしのほうへゆっくり差し出した。
「もう、指先だけじゃ足りない」
ドキッとした。
差し出された手に触れると
陽斗はすこし笑って、指を絡めてきた。
手のひら同士がちゃんと触れる。
その感触だけで
胸がじんわり熱くなる。
「……ねぇ紬」
「なに……?」
「今日、ずっと思ってた」
陽斗が一歩近づく。
顔の距離が、昼間よりずっと近い。
「バイバイしたくねぇ」
「……わたしも」
つい、素直に言ってしまった。
陽斗の目が一瞬、揺れた。
その揺れが優しくて、息が止まりそうになった。
「……紬」
「うん……」
手をつないだまま
陽斗がわたしの頬にそっと触れた。
親指で、髪の横をやさしくなでる。
心臓が壊れそう。
「なんか、今なら……」
「……っ」
「キス……できそうな気がする」
耳元で低い声が響いた瞬間
世界が一瞬で静まった。
陽斗の顔がゆっくり近づく。
唇の距離が、みるみる縮まっていく。
「よ、陽斗くん……待って……」
「待つけど」
「ま、まだ……心の準備が……」
「俺もまだだけど……」
そう言いながらも
陽斗の指はわたしの頬に添えられたままだった。
その優しい温度が
怖い以上に、安心させる。
「紬が嫌ならしない。でも……」
「……?」
「嫌じゃないって分かってるから、たぶん……俺止まんない」
「っ……!」
陽斗の額が、そっとわたしの額に触れた。
キスじゃない。
でもキスの直前みたいに、胸がぐらぐら揺れる。
「……今日はここまで」
「え……?」
「紬が可愛すぎて、これ以上やったら……俺が絶対後悔する」
陽斗は息を吐きながら、ゆっくり距離を離した。
でも手はつないだまま。
「紬。好き」
「……わたしも」
その返事を聞いた陽斗は
ほっとしたみたいに笑った。
「じゃあ……今度ちゃんとキスする。逃げんなよ?」
「逃げない……」
「約束」
指先をきゅっと重ねたまま
ゆっくり手を離していく。
離れた瞬間、胸がきゅっと痛くなった。
それでも、どこか甘くて幸せな痛みだった。
「おやすみ、紬」
「……おやすみ、陽斗くん」
家に入っても
胸の鼓動はしばらく止まらなかった。