甘々王子とやらかしヒーロー
T埠頭
日和:「樹くん、ここ…」
樹:「うん、覚えてる? 僕たちがあの日最後に来た場所」
日和:そうだ、ここで一緒に夕陽を見た
ブーブーブー……
鳴り止まない和泉からの着信
樹:「出ないで! 二人だけで話がしたいんだ」
日和:樹くん…私もちゃんと樹くんと話したい
もうちょっとだけ…ごめん、和泉くん
樹:「あの時、日和に何も言わずアメリカに帰ってしまってごめん」
フルフルと首を振る日和
日和:「昨日あの後、向田さんに会ってあの時 何があったか聞いたの」
樹:「そう…あの時はそれが一番いい方法だと思ったんだ。だけどそれは間違いだった、あの時 日和から離れるべきじゃなかった。今でも僕はあの頃と変わらず日和が好きだ! だからもう一度ここからやり直したい」
日和:「…樹くん、あの時…樹くんがいなくなって私本当に辛かったの。でもね、そんな私を和泉くんや美咲、修一くん、祐生くんみんなが支えてくれて…だから私は笑ってこられたの。だから…」
すーっと日和を抱きしめる樹
日和:「ちょっ…樹くん!」
樹:「ごめ…‥こうやって日和の手や髪に触れながら抱きしめる夢を何度も…何度も見たんだ」
日和:それは…私も
樹:「僕は…日和のいない人生なんて…どうしても考えられない」
そう強く抱きしめる樹の手は震えていた
日和:樹くん…樹くんの気持ちは痛いほど伝わる
だけど…このままじゃ
日和:「樹くん、ダメだよ」
日和は両手で樹の肩を押した
そして鳴り続けていたスマホの通話ボタンを押す
和泉:「日和!! 日和! 無事か?! 今どこだ?」
日和:「和泉くん、このまま聞いてて」
和泉にそう言うと、日和は樹の目をまっすぐ見た
日和:「樹くんごめんなさい、樹くんの気持ちには答えられない。私が好きなのは和泉くんなの! 樹くんを傷つけるとわかってても、はっきり自分の気持ちを言えるようになったのも和泉くんがいてくれたから…和泉くんのおかげで私強くなれたんだよ。これからもずっと一緒に生きていきたいと思うのも和泉くんなの。だから…ごめんなさい」
日和はスッと指輪を差し出した
和泉:「日和ーーっ」
樹は大きく息を吐き、日和に触れていた手を離した
樹:「日和…うん本当に強くなったんだね…そうか、そうだね……僕もちゃんとわかってはいたんだ、4年以上も月日が経っているのにあの時のままのはずがないって…だけどもし日和が僕を待っていてくれていたら…なんてかすかな望みで日本に来たんだ」
日和:「樹くん…私本当に待ってたんだよ、でも…」
樹:「うんわかってる、小林と付き合い始めたの最近だって聞いた。だからもしかして僕にもチャンスがあるかもって思ってしまったんだ。でも日和の気持ちはよくわかったから…ありがとう、ちゃんと言ってくれて」
樹は指輪を受け取り、日和のスマホを持ち
樹:「小林、T埠頭だ」
そう言って通話を切り、日和にスマホを渡した
樹:「日和、小林が来るまで座って話そう。日和があの後どんなふうに過ごしてきたか聞きたい」
日和:「うん」