天下無双なヴァンパイアは番を探し続ける

8 もっと早く──【side 夜翔】

今日一日、俺は沙音を探し回ってたのに、あいつは徹底的に俺を避けてやがった。

……ま、俺が『関わるな』っつったせいかもしんねーけど。いや、絶対そうか。


つーか、避け方が露骨すぎんだろ。

……本人がそれに気付いてんのかどうかも怪しいけどな。


休み時間に俺が教室に入ればすぐに出て行くし、目が合いそうになったら即そらすし。

『関わるな』と自分で言ったくせに、どうしても、本能が沙音のほうに行く。


だけど──

昇降口でチャラついたクズどもに絡まれてるのを見たとき、あいつが無理して平気なフリしてるのが、目で見えちまった。


怖がってんのに、必死で平気なフリをして。

震えてんのに、それをごまかして歯を食いしばってる。


どことなく、そのチャラクズどもにイラついた。

なのに、胸がどっくんと音を立てる。


……その姿が、重なったから。

思い出したくもねぇ過去が、勝手に浮かんでくる。


──凛夜。


そう思ってしまったものの、すぐに、そのことを否定する。


まさか。そんなはずはねぇ。

沙音は、沙音だ。

……わかってる。わかってんのに、目が離せなかった。


たったの数十年で、こんな早くあいつは生まれ変われるはずがない。

そう思うのに、凛夜の最後の言葉が離れられない『会いに行く』と言った彼女の、言葉が。

彼女なら、来てくれるかもしれない。

そう思ってしまった。
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