彰人さんが彼女にだけ優しい理由
「…逃さないよ?」
そのまま手首を引っ張られ、下ろした筈の脚は再びベッドの上へと引き戻された。
あっという間にベッドに磔にされる。声を漏らして抵抗するも、彼は想像以上に力の強い男だった。
そのパワーに、急にとてつもなく恐ろしくなり、私はようやく「やめて」と声をあげた。
「まさか合コンにこんな可愛い子が来るなんてな…」
彼の気味の悪い冷たい唇が、首をゾゾッと撫でた。やめて、と大声をあげる。その直後のことだった。
目の前で私の首に唇を寄せていた藻崎氏が、急にひっくり返されるように、突き飛ばされた。どん、と鈍い音を立て、ベッドの端へと転がり落ちる。その衝撃から藻崎氏は窓辺の壁方向へとぶち当たった。痛い、と言う暇もないほどのあっという間の出来事。
軽々と彼を突き飛ばした彰人その人を呆然と見やり、私は目を丸くして体を起こした。
「立て、このクソ野郎が」
床に転がった藻崎を、彼は追いかけると胸ぐらを掴んで引き起こす。
壁に顔面をぶつけたせいか鼻から血を出している藻崎は、彰人を睨み上げる。
「…だ、誰だお前!」