コンビニからはじまる最後の恋
抱きしめられた瞬間、すべての音がふっと消えた。
こんな風に抱きしめられるなんて思ってなくて、心臓がドキッと跳ね上がる。

背中に回された彼の腕にギュッと強く抱き寄せられると洋服越しに温かい体温が伝わって、私の想いが彼に届けられたんだと理解した。

「嬉しいです……もう離しません。ずっとそばにいます」

耳元でささやかれた言葉が心に落ちて、喜びで胸がいっぱいになる。

「私も……ずっとそばにいさせて」
「はい……俺のそばにいてください」

まるでプロポーズのような言葉だなと思いながら、私も彼の背中に腕をまわす。


ようやく過去の辛い恋から一歩踏み出せた。
コンビニからはじまったこの恋が最後の恋になりますように。
そう願いながら、私は彼の温もりの中でそっと目を閉じた──。

【完】
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