私は死亡者

目覚め

目を開けると、部屋の天井がぼんやりと白く滲んでいた。
蛍光灯の光はついていない。外の街灯が薄曇りの窓を透けて、鈍い光を部屋の隅に落としている。

ここは……どこ?

そんな疑問を抱く前に、もっと根本的な感覚が私を凍りつかせた。

体が冷たい。

いや、冷たいというより“温度がない”。
芯まで何かが抜け落ちてしまったような、感覚の喪失に近い。

ゆっくりと上半身を起こすと、Tシャツは破れ、乾きかけた血が胸から腹にかけて黒くこびりついていた。

血……? これ、私の?

触れた指が震えた。
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