私は死亡者
全身の血が引いていく。
彼は私が“死んだ”ことを確信している。
そして、生き返った私を知っている。

「無視して!」
沙耶が必死に私の腕を掴む。

私は固まったまま動けず、ただドアを見つめていた。
すると男は低く呟いた。

「……死亡届が出ていないんだ。お前は“正式に”死ねなかった。
だから、迎えに来た」

ドアノブが、カチリと回った。

私は反射的に叫ぶ。
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