私は死亡者
私は足跡を辿る。
しかし数歩進んだところで、不自然に途切れている。

まるで、空中に消えたかのように。

「足跡……ない?」

「遼くん、それを見て震えてた。
“人じゃない”って」

ぞくりと背筋が冷えた。

私は自分が倒れていた位置に立ち、そっと目を閉じた。

すると——
視界の奥に、突然ビリッと電流のような映像が走った。

雨の夜。
倒れる自分。
震える遼の声。
そして——

“私を見下ろす、顔のない影”

そこで記憶は途切れた。
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