私は死亡者

密室の記憶

地下のファイル室は雑然としていた。
書類棚が乱れ、床に紙が散乱している。

「遼……?」

私は薄暗い空間の奥へ歩いていく。
すると、机の上に一枚の封筒が置かれていた。

《死亡診断書:美鈴》と書かれている。

震える手で封筒を開けると、中には診断書が一枚だけ。

死因:胸部切創による出血性ショック
死亡時刻:0時12分
死亡確認者:——空欄

確認者の名前が、書かれていない。
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