私は死亡者
「ええ。
私には“生きた人生”が必要だった。
あなたの世界、あなたの関係、あなたの未来——
全部欲しかったから」
沙耶が怒りに震える。
「最低!!」
偽りの私が静かに呟いた。
「だから私は遺体を影に引き渡した。
魂が残れば、あなたは“存在してしまう”から。
影が回収すれば、あなたは完全に消えたはずだった。
なのに……」
私を指さす。
「あなたは“残った”。
死んでいるのに、生きることを諦めなかったから」