私は死亡者

“生”への逆走

「私は……」

三つの選択肢が頭の中で渦巻く。

生者として戻る。
死者として影の側へ行く。
存在自体を消える。

けれど、私の言葉はもう決まっていた。

「——私は、生きたい」

影の回収者の瞳が揺れる。

「魂だけの存在が、生者を望む……?
矛盾だ。破綻している」

「それでも。
私は、私として存在したい」

遼が息を呑む。
沙耶が泣きながら頷く。
未鈴が、静かに私の手を握る。

影はゆっくり言った。
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