私は死亡者
「遼、ありがとう。
でも……やらなきゃいけない」

未鈴が私の前に立った。

「行くなら、私も一緒に行く。
私は影由来の存在。
深淵に耐えられるのは……私だけ」

私は目を見開く。

「未鈴……」

彼女は微笑んだ。

「あなたの“影”じゃない。
あなたの“味方”として行く」

影の回収者は両手を広げ、闇を開いた。

「ならば進め。
深淵は《本物の死》をもたらす。
戻れる保証はない」

私は一歩踏み込み——
未鈴とともに深淵へ落ちた。
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