私は死亡者

未鈴の居場所

病院を出ると、夜明けの空が広がっていた。

私は胸を押さえる。
心臓が確かに動いている。

沙耶が横でつぶやく。

「……美鈴、これからどうするの?」

私は空を見上げながら言う。

「生きる。
後悔しないように」

遼が微笑む。

「じゃあ、まずは朝ごはんでも食べるか」

私は笑った。

「うん。未鈴がくれた“生”を大事にするために」
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