彼女が「魔女」であるから
ベルゼ商会

琥珀の優しさ

その後、院長先生は騎士に連れていかれ、私は琥珀の魔女ロニーナ・ベルゼリリスに引き取られた。

ロニーナ・ベルゼリリスはこのダンデリデート王国だけでなく世界的にみても有名な商会、ベルゼ商会の会長だそうだ。

うねったエメラルド色の髪を三つ編みにして前に流し、琥珀の瞳をもつ年齢不詳の美女。

そんなロニーナさんの家で私は居候をしている。

「アイズ、今日もご飯を食べなかったの?」

「ごめんなさい。何も、食べる気になれなくて」

ロニーナさんの帰りは遅い。

誰もいない、平和で孤独な時間は、なぜか苦しい。

「いや、しょうがないわ。貴方を責めている訳では無いの」

「でも、ご飯を食べないと元気が出ないでしょう?」

「そうですね」

正直それでいい。私には、頑張って取り組むようなことはないのだし。

「明日は頑張って食べます」

けど、言えない。

他人の家で穀潰しをしている分際の女が言っていい言葉じゃない。

この言葉は嫌われる言葉だ。

ロニーナさんがどうしてここまで良くしてくれるのかも、私を心の底でどう思っているのかも、『今の』私にはわからない。

だから怖い。

嫌われたくない。

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