拝啓、愛しのパイロット様
「これからステイ先では必ず手紙を書いて送るよ。俺が勝手にやっていることだから、読みたくなかったら捨てていい」
「す、捨てませんよ!」
小町はエアメールを大事に腕に抱えたまま首を横に振った。
わざわざ時間を取って書いたものを捨てるなんて、人としてあり得ない。
小町を驚かせるためだけに、便箋を買い、切手を貼る手間を考えたら、この手紙には何物にも変え難い価値がある。
「読んでもらえそうでよかった。じゃあ、俺はシャワー浴びてくるな」
「あ、はい。わかりました」
由桔也がバスルームの中に消えていくのを確認し、小町はあてがわれている書斎に入り、届いたエアメールをじっと見つめた。
(なにが書いてあるんだろう)
先ほどから心臓がトクントクンとやたらと速い脈を刻んでいる。
まるで、宝箱を前にした冒険者のような気持ちだ。
金銀財宝が詰まっているのか、はたまた不届者を捕らえる罠が仕掛けられているのか。
開けるまで、なにが入っているかわからないこそ、余計にあれこれと夢が膨らんでしまう。