拝啓、愛しのパイロット様
「ただいま」
「おかえりなさい、由桔也さん」
結局、由桔也が帰宅したのは夜の十一時過ぎだった。
この日は国内線の乗務で、福岡ー羽田間を一往復しての帰宅だ。
「由桔也さん!あ、あの……これ……」
小町が届いたエアメールを手にしながら、おずおずと話しかけると、由桔也はあっけらかんと言い放った。
「あ、もう届いた?意外と早かったな」
「本当に由桔也さんが書いたんですか?」
「ああそうだ」
小町は改めて手もとのエアメールに視線を落とした。
男性から手紙をもらうなんて生まれて初めてだ。
「驚いた?」
そう尋ねられた小町が素直頷くと、由桔也はしてやったりとばかりにニヤリと口角を上げた。
サプライズが成功してご満悦の様子だ。
「どうして私に手紙を?」
不思議に思い尋ねると、由桔也はさらに続けた。
「小町が言ったんじゃないか。『手紙を送り合ったら、すぐに仲良くなれた』って。」
「そ、それは小学生のときの話で!」
「大人でも変わらないだろう?小町にはまず俺のことを知ってもらいたいと思ったんだ」
優しさを讃えた瞳に見つめられて、ドクンと胸が高鳴る。
自分のことを知ってもらいたいと訴える由桔也からは、小町の恋愛不信に真正面から向き合おうとする強い意志を感じた。