拝啓、愛しのパイロット様
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最初の一通を皮切りに、その後も由桔也からエアメールが届いた。
シンガポール、オーストラリア、福岡。
手紙は国内外を問わず、次々と送られてきた。
最初こそ初めての経験で戸惑うばかりだったが、数をこなすうちに慣れてきて、最近は仕事帰りにポストをのぞくのが楽しみになっている自分がいる。
【海岸沿いをランニングした】
【顎が外れそうなくらい大きなハンバーガーを食べた】
【海が綺麗だ。いつか小町と一緒に見たい】
由桔也からの便りには、国内なら早ければ二日後、外国からでも平均して一週間前後で届いた。
文房具店で入手したと思しき日本製の便箋が使われることもあれば、ステイ先で買ったであろうポストカードやグリーティングカードが送られてくるときもある。
目にも鮮やかで、文房具オタクの小町の好奇心をくすぐった。
肝心の手紙の内容も、ついクスリと笑わせられるユーモアに富んだものから、不意打ちのように小町への恋心を仄めかせるものもあって。