拝啓、愛しのパイロット様

(よく続くよなあ……)

 由桔也のマメさには、感心させられる。
 ただでさえハードワークなのだから、手紙を書く時間があるなら休息をとったほうがいいと思うが、それでも彼は、宣言通り欠かさず手紙を書いて送ってくれた。

(うれしいもんだな)

 無邪気に手紙交換に勤しんでいた昔と異なり、手書きの手紙をもらう機会は格段に減った。

 手紙しか連絡手段がなかった時代とは違い、優れたツールが世の中にはたくさんある。

 スマホを開けばメッセージアプリがあるし、インターネット越しに世界中どこでもビデオ通話ができる。

 わざわざ手紙なんて書かなくても、手っ取り早く意思を伝える手段はたくさんあるのに、由桔也はあえて文字を綴ることを選んだ。

(ロマンチストなのかな?)

 自分は恋愛に向いていないからと、一度は彼を突き放したくせに、最近は由桔也の手紙を待ち焦がれている自分がいる。
 由桔也から手紙届き始めて一か月。

 夏が終わる頃には小町の身にも少しずつ――けれど確実に変化が訪れた。
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