拝啓、愛しのパイロット様
(またか……)
小町は手もとのオーダー表を眺めながら、深いため息をついた。
このオーダー表はスターライト文具の倉庫から、営業店や取引先にどの文房具をどれだけ送るか、指示するためのものだ。
オーダー表に基づき、専用のWEBフォームに電子データを打ち込むのだが。
いかんせん、オーダー表に書かれた文字が読めない。
(たぶん、来月の文具フェア用の発注だよね?)
辛うじて読み取れる商品の名前から推測するものの、合っているか保証はできない。
かなり書き崩されているうえに、誤字もひどい。なにが書いてあるのか正しく判別するのは極めて難しい。
こんな風に乱雑な字を書く人物はひとりしかいない。
小町はふうっと息を吐き椅子から立ち上がると、窓際にあるデスクまで歩く。
「神城部長」
そう声をかけると、目的の人物はパソコンから視線を上げ、小町にチラリと流し目を送った。
スターライト文具の営業部長、神城凌は二十八歳の小町とそこまで年齢が変わらずまだ三十歳だ。
ワックスできっちりと固められたツーブロックとからのぞくニヤニヤとした薄ら笑いには、どこか胡散臭いものを感じる。