愛情ごはんを届けたい ~エリート社長は過労死寸前!? あなたの心と体を私の料理で癒します~
 いつだったか「来年には三十路になるし、オジサンの仲間入りかな」なんて笑っていたけど、オジサンなんていうのが失礼に感じるくらい素敵な人だ。
 ひそかに憧れているけど、きっと、東條さんから見たら私なんて子どもだろうな。


「いらっしゃいませ、東條さん」
「やあ、咲良ちゃん。いつものお願いできるかな?」

 カウンター席に座った東條さんはスーツの内ポケットからスマホを取り出すと、ちらりと画面を見た。

「自家製ブレンド山茶花(さざんか)ですね。一緒にケーキはどうですか?」
「ケーキか……それよりホットサンドがいいかな。今日も昼飯を食べ損ねてさ」

 ははっと笑う東條さんは、立て掛けてあるメニューを引っ張り寄せて眺めると「キャベツのホットサンドがいいな」といった。

「キャベツですね。もう、ちゃんとお昼休憩取らないとダメですよ」
「ははっ、だからこうして来たんじゃないか」
「今はお昼じゃなくて、おやつの時間ですよ」

 呆れた私を見て、東條さんは楽しそうに笑いながら「スープとポテトサラダもつけてほしいな」といいながら、持っていたメニューを元の場所に戻した。
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