あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
***
「辻村くんと別れたの!?」
「……うん」
「え、嘘でしょ?原因は?」
「言いたくない」
「いや、言ってよ。そこはもう言ってしまえ?気になるでしょ?」
中学時代からの友人である里英の家で、私は体操座りのまま顔を隠すように俯いた。
里英は生後五ヶ月の愛娘である咲良ちゃんを抱きながら、私の体を小突いて話の続きをしろと催促する。
言いたくない、こんなこと。
二年付き合った彼氏に図星を突かれた挙句、あっさり別れを切り出されてしまっただなんて、自分の口から言いたくない。
「ほら、なんで別れたの?言ってみな?」
「……俺といても楽しくないだろって」
「ん?どういうこと?」
「つまらない顔してるのが滲み出てるって」
「あー」
「そんなの自分もつらいから別れよって」
「なるほど」
一つずつ言葉を発するたびに、里英は少しずつ全容を把握しながらなぜか同時に納得もしていく。
「なるほどって何?」
その様子にムッと顔を顰めると、里英は咲良ちゃんに「やだぁ、和泉おばちゃんが怖い顔してくる〜」と言って戯れ合った。