あなたに友達以上の関係は望まない(はずだった)。
◆第5話:「夜明けのクリスマスは公園のベンチで」



◆◇◆◇




 「──はい、承知いたしました。それでは本日の打ち合わせを午後一時からに変更させていただきますね。またお時間になりましたらまたご連絡いたします。担当の大崎様にはお大事になさってくださいとお伝えください。……はい、失礼いたします」



 鳴り止まないオフィスのコール音に、忙しなくバタバタと走り回る社員達。

 聖なる日とは程遠い、地獄のような平日のクリスマスが幕を開けた。

 今朝のニュースで『ホワイトクリスマス』だなんて言っていたけれど、大雪のせいで交通機関はバグっているし、おまけに日本には今、大寒波がやってきているとかでインフルエンザが大流行してしまっていてリスケのオンパレードだ。





 「……ダメだ、カオスだ。倒れそう」

 「今倒れたらぶっ飛ばす。ところで高野、あのプロジェクトの件どこまで進んでる?」

 「鬼白石め。今建築会社の選定と田端オーナーとの会食のセッティングが終わったところかな。これから年明け後すぐにある選定会の資料を作るところ。でも私これから別会社との打ち合わせが三件入ってるからもう無理。白石できそうなら変わって」

 「分かった。データ寄越して、午前中に終わらせる」

 「神様〜!さすが白石!」

 「惚れてもいいぞ」

 「それはない」


 お互いにパソコンの画面と向かい合ってキーボードを叩きながら、そんなやりとりをする。

 白石は特に大口の取引先を何件も持っているから、きっと私以上に忙しいはずだ。




 「(そういえば白石が弱音吐いてるところ、一回も見たことないかも)」

 この男の口からは「忙しい」という単語も、「無理」だとか「できない」だとか、そんな言葉は今まで一度だって聞いたことがない。



 「(やっぱり白石って、すごいやつなんだ)」

 私も負けてはいられない。

 気合いの入れ直しだと言わんばかりに袖を捲って、一層目の前の仕事に集中した。







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