無口な警察官様とのまさかの同居生活についてご報告します〜過保護で甘々で困っているのですが…!〜
「……久しぶりだな。佳奈さん」
「本当に久しぶり!」

その顔を見るのは、おそらく二年近くぶりだ。

近藤佳奈さん。
今署内にいる警視長の娘で、かつて俺と婚約話が持ち上がったことのある相手だ。

「お父上と一緒に来ていたのか?」
「ええ。このあと別のところに挨拶に行くの。実はね――」

そう言って彼女は、左手を差し出した。
薬指には、小さく輝く指輪があった。

「私、近々結婚することになったの」
「そうか! おめでとう」

俺が笑顔で祝福すると、彼女は少し照れたように笑った。

「結局ね、相手は検察庁の人なの。父のしつこさに根負けしてお見合いしたら、思ったより気が合っちゃって。湊さんにはあんなに強気なこと言ってたのに、恥ずかしいわ」
「縁ってやつだろう。君が幸せなら俺も嬉しい」

佳奈さんと初めて会ったのは、俺がまだSATにいた頃だ。

当時、彼女の父――近藤警視長が俺を気に入り、婚約の話が持ち上がった。
だが俺は仕事に集中したかったので断った。
しかし警視長はなかなか引き下がらなかった。
そんなある日、突然佳奈さん本人が現れた。

『私はあなたとは結婚しないわ。料理研究家として独立するの。今は結婚なんて考えてない』

そう堂々と言い切ったのだ。
驚いたが、そのおかげで話は一気に片付いた。
俺たちはすぐに打ち解け、お互いに目標のためにがんばろう、と意気投合した。
時たま連絡を取るようになり、彼女がまた見合い話に困ると偽装恋人を演じて協力したりと、妙な友情関係を築いた。

佳奈さんは今や人気料理研究家になっていた。
テレビや雑誌にひっぱりだこだと、よく署内で話されているのを耳にする。

俺も捜査一課に配属され、忙しい日々が続いていたため、ここ二年ほど、彼女とは連絡も取っていなかった。
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