推しと奏でる、私たちの唄 〜ドS天才歌手の隣は甘くて難しい〜
その時、スマホが震えた。
画面には──「朝倉 夏」
「……え?」
「夏さんから?どうしたんだろ?」
初めて個人宛にメッセージが来た。
届いたメッセージは短い。
《今から来て。ここに》
すぐに位置情報のピンが届く。
見覚えのない 地下駐車場。
「な、何これ……急すぎ……」
「……行けってことじゃない?
仕事だし、夏さんってそういう人なんでしょ?」
灯里は深いため息をついて、荷物を持つ。
「なんで私の休みに限って
……行ってくるね。
本当にごめん!颯真のことよろしく。」
「いってらっしゃい、お姉ちゃん。
颯真のことは任せて」
その頃も、颯真と陵は小さなライブのように歌って遊び続けていた。
灯里は胸をざわつかせながら、
夏に呼び出された地下駐車場へ向かう──。
人気のない地下駐車場につくと、黒の高級車が目に入った。
この車に夏さんが……?
車に近づくと、中からサングラスをして、変装モードの夏が運転席から出てきた。
「後ろ乗って。」
「……はい。」
まさか夏さんの愛車に乗れるなんて…しかも、運転まで。
これは…仕事……なんだよね?
夏の言われるがままに、灯里は後部座席に乗る。
車が静かに発進した。