私が好きになったのはどっちなの?
 渡辺さんは患者さんのカルテの整理があるとかで、私ひとり売店に向かい、ワンコインのお弁当を買って屋上に向かう。
 屋上はウッドデッキになっていて、丸いテーブルがいくつか置かれている。テーブルに弁当を置き、椅子に腰掛けると、ポケットからあんちょこを出し、お弁当を食べながら脳神経の場所を覚える。
「え~、嗅神経、視神経、動眼神経……舌下神経。言えても、場所がイマイチ覚えられない」
 あ~、脳外って覚えることいっぱいありすぎて頭パンクしそう。
 一応私は小児科希望だったのだけれど、人気が高くて、脳神経外科に配属された。
 聞くだけで大変な科だから、仕事が終わって寮に帰っても勉強している。
 勉強は嫌いじゃないけど、毎日疲れているせいか全然頭に入らない。みんなどうやって一人前になっていくのか。
 ハーッと溜め息をつきながらお弁当のハンバーグをパクッと口に入れたら、屋上のドアがカチャッと開く音がして蓮先生が現れた。
「あれ、先客。花梨ちゃん、いつもここで食べてるの?」
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