私が好きになったのはどっちなの?
12,彼女と一緒にいたい
「彼女、見送りに来ないんだな」
航空会社のチェックインカウンターにスーツケースを預ける俺にルカが周囲を見回しながら言う。
 彼女というのは花梨ちゃんのことだ。
 だが、俺を見送りに来るわけがない。
「樹とデートだよ」
 何食わぬ顔で返せば、ルカが俺の顔をジーッと見据えてくる。
「……いいのか? 弟に好きな女取られて」
「元々俺のものじゃないし、彼女が幸せならそれでいい」
 今日樹と釣りに行って彼女が告白するのかはわからない。
 だが、花梨ちゃんの恋がたとえ成就しなかったとしても、もう大丈夫だろう。
「いつからそんなお人好しになった?」
 ルカが冷ややかにそんな質問を投げてきたので、小さく微笑んでみせた。
「彼女限定」
「恋は盲目とはよく言ったものだな」
 俺を見て呆れ顔で言う彼に軽く注意した。
「煩いよ」
 俺の気持ちを彼女に伝えるつもりはない。
 彼女の恋の行方がどうなろうと、俺はどのみちドイツに行く。
 もう彼女は俺がいなくても大丈夫。彼女は強い。
< 233 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop