私が好きになったのはどっちなの?
 悪戯っぽく目を光らせて謝れば、彼女がブンブンと首を横に振る。
「レッスンも本番も蓮先生だから。これからもいろいろ教えて下さい」
「いいのかな? そんなこと言うと、俺の歯止めがきかなくなるよ」
 花梨ちゃんを見下ろしてそんな意地悪な言葉を言うが、彼女は俺から視線を逸らしつつも意外な言葉を口にする。
「いいですよ。別に……」
 俺の理性を試されているのだろうか。
 エレベーターを降りると、彼女の手を引いて部屋に入る。
 リビングは二十畳ほど。ベッドルームはふたつあって、バスルームもふたつ。
 このホテル一番のスイートルームらしい。というのも、事故があった影響で部屋が選べる状況ではなくて、唯一空いていたツインルームをルカに譲り、俺は花梨ちゃんがいたからスイートにした。多分、値が張るから空いていたのだろう。
「なんか……すごい豪華ですね」
「そうだね。でも、部屋が空いててよかったよ」
 でなきゃ、ルカと同部屋になってたかもしれない。
 それに、スイートでよかったかもしれない。
 狭い部屋にいたらすぐに彼女に手を出してしまいそうだから。
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