負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る
 正月明け、メイサを教室に迎えに行ったら、クラスメイトと正月の話をしてた。


「休みに、あの映画観てきたよ」

「あ、須藤くんと? いいなー」

「三枝さん、1年の須藤と仲いいんだ。でもさー、男なんて単純だから2人で映画なんて行ったら勘違いされちゃうんじゃない?」


 ウケる。

 女の先輩の当たり障りない返事はまだいい。

 その後の男の先輩の嫌みったらしい言い方、間違いなくメイサのこと好きなんだろうな。

 割って入ってもいいけど、メイサはなんて返すんだろう。

 メソメソするのか、それとも。


「勘違いって?」

「だからさ、俺のこと好きなのかなーとかさ。付き合ってるのかなーとか」

「須藤が、そう思うってこと?」

「えっ……う、うん」


 吹き出しそうになるのを堪える。

 デカい声でそんな責め方しなくてもいいのに。

 言い方はかわいいし、声も別に責めてる感じじゃないのに、男の方がタジタジしてる。


「別にいいんじゃない?」

「えっ」

「私、そう思われて嫌な相手とデートしないけど」


 なんか、思ってたのと全然違った。

 俺が思ってたより、三枝メイサはずっと強い女の子だったんだ。


「メイちゃん、須藤くん狙ってるんだ?」

「んーそういうんじゃないけど、かわいい後輩だと思う」

「かわいい?」

「うん。あいつね、かわいいの」


 そんなの、言われたことないけど。

 メイサはもちろん、他の誰からも。

 でも、なんとなくメイサの顔が浮かんできて、堪らずしゃがみ込んだ。


「なんだよ、それ」


 ぼやきながらスマホを取り出す。

 メイサの名前をタップすると、教室から少し前に流行ったラブソングが流れてくる。


『はいはーい』

「迎えに来た。部活行くぞ」

『今行く!』

「なんでその曲なんだよ」

「恋愛力を感じるから!」


 頭の上から声が聞こえた。


「じゃあ、また明日」


 メイサは教室の中に手を振る。

 立ち上がって歩き出すと、メイサは隣に並んで勝手に喋ってくる。


「もしかして、お前モテるの?」

「さあ? 気にしたことないよ」


 頭をぐりぐり撫でたら、「髪がぐしゃった!」ってわめいてて、なんか安心した。



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