負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

12月29日、月曜日

 今年最後の部活を終えて、私は須藤と並んで歩いていた。

 須藤はいつもどおり自転車を押して隣を歩いている。

 ふと冷たい風が吹き抜けた。


「うー、寒い」

「なに、手え繋ぐ練習してほしいって?」

「そ、そんなこと言ってない!」

「今日で20日なのに、あんたは全然勝てそうにねえなあ」

「うっさ!」


 でも、そうだよね。

 恋に強い女の子なら、きっと、ここでかわいく甘える!


「須藤くん、寒いから……手、つないでくれる?」


 なんとかそう言って須藤を見上げる。

 どうせニヤニヤしてるんでしょって思ったのに、須藤は目を丸くして私を見下ろしていた。


「えっ、どしたの?」

「やればできるじゃん」

「えらそうに!」

「はいはい。うわ、手え冷たいな」


 須藤が想像より柔らかい顔で私の手を取った。

 その手は温かくて、大きい。


「えへ……」

「んだよ、ニヤニヤして」

「なんでもないよ!」

「その顔は、80点」


 そのあと黙ったまま手をつないで駅まで歩く。

 名残惜しいけど手を離した。


「良いお年を、須藤!」

「はいはい、良いお年を、メイサちゃん」


 ヒラヒラと手を振って、須藤は自転車に乗った。

 広い背中を見送る。
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