俺様エリートマーケッターの十年愛〜昔両思いだったあの人が、私の行方を捜してるそうです〜
第一章「思いがけない再会」
「遅れて申し訳ございません。通勤途中で交通事故に巻き込まれてしまいまして」
ドアが開けられる音とともに、低い、だが、よく通る声がスポーツ用品メーカー本社、イダテン第三会議室に響き渡った。
室内の顔ぶれが一斉にその声の主に向けられる。
長身痩躯でグレーのスーツがさらりと決まっている。キリリとした端整な顔立ちに、ダークブラウンの髪が印象的な青年だった。
年は二十代後半だろうか。
女性の出席者全員の目がハートになっている。
「えっ、あの人は誰?」
「あんなイケメン……イダテンにいた?」
――今日は営業部を巻き込んでの、新商品企画のプロジェクト、その顔合わせの日だ。
専門店営業本部で事務を務める入江美波も、専門店営業本部長三井の秘書的な立ち位置で出席している。
美波は新卒でイダテン本社入社して以来、フロントオフィス――つまり裏方の仕事をしていた。だから、こうした華やかな場には慣れていない。
三井部長に抜擢されなければ、こんな重要なプロジェクトになど、一生関わることもなかっただろう。
だから、ずっと緊張していたのだが、青年の顔を見た途端息を呑んだ。
(嘘……どうして? どうしてこんなところに翔君がいるの?)
ドアが開けられる音とともに、低い、だが、よく通る声がスポーツ用品メーカー本社、イダテン第三会議室に響き渡った。
室内の顔ぶれが一斉にその声の主に向けられる。
長身痩躯でグレーのスーツがさらりと決まっている。キリリとした端整な顔立ちに、ダークブラウンの髪が印象的な青年だった。
年は二十代後半だろうか。
女性の出席者全員の目がハートになっている。
「えっ、あの人は誰?」
「あんなイケメン……イダテンにいた?」
――今日は営業部を巻き込んでの、新商品企画のプロジェクト、その顔合わせの日だ。
専門店営業本部で事務を務める入江美波も、専門店営業本部長三井の秘書的な立ち位置で出席している。
美波は新卒でイダテン本社入社して以来、フロントオフィス――つまり裏方の仕事をしていた。だから、こうした華やかな場には慣れていない。
三井部長に抜擢されなければ、こんな重要なプロジェクトになど、一生関わることもなかっただろう。
だから、ずっと緊張していたのだが、青年の顔を見た途端息を呑んだ。
(嘘……どうして? どうしてこんなところに翔君がいるの?)