運命の恋は、雨のバス停から
偶然
週が明けた月曜日。
大きなガラス窓から差し込む光が会社のロビーを柔らかく包む。
制服に袖を通し、来客対応に集中していたら、受付カウンターに一人の男性が向かってきた。
「いらっしゃいませ」
「お世話になります。古田屋の藤井です」
名刺を差し出され、私はタブレットを操作して来客リストを確認する。
入館証を藤井さんに渡して、簡単に説明した。
「こちらが入館証です。ICセンサーにかざしていただくと、ランプが緑に変わります。お帰りの際は、受付にご返却ください」
藤井さんが入館証をICセンサーにかざすと「ピッ」と電子音が鳴り、ランプが赤から緑に変わった。
「ありがとうございます。それでは、営業部の松沢に連絡を取りますので、少々お待ちくださいませ」
軽く頭を下げ、受話器を手に取って内線番号を押す。
「お疲れ様です。受付の椎名です。松沢課長、古田屋の藤井さんがいらっしゃいました」
『ありがとう。六階の会議室まで案内してもらえる?』
「承知しました」
電話を切り、藤井さんに微笑みかけた。
「お待たせいたしました。それでは、六階の会議室へご案内します」
私は隣に座っていた奈子ちゃんにアイコンタクトを送ると、彼女は小さく頷いた。