【番外編追加】ロマンスに、キス
じわっと視界の端が熱くなる。
込み上げてきて、泣きそうで。
でも――泣きたくなかった。
今ここで泣いたら、きっと佐野は優しくしてくれる。
でも、それじゃ嫌だった。
そんな優しさじゃなくて、ちゃんと“話”がしたかった。
あたしたち、話さなきゃいけないこと、ずっと避けてること、多すぎる。
だから、泣きそうになるのをごまかすように、グッと唇を噛んだ。
その瞬間、佐野が眉をひそめて、少し苛立ったような顔で口を開いた。
「…俺は、お前の覚悟ができるまでは何年だって待つつもりでいたんだよ!5年だろーが、10年だろーが!」
言葉が熱を帯びて、まっすぐ刺さってくる。
「その覚悟で、お前といんだよ!」
一気に言い切った佐野は、肩で息をしていた。
……そんなの、聞いてないし。
言われてもない。
5年、10年――?
佐野は、あたしとそこまで先を一緒に見るつもりでいたの?
胸の奥がじん、と熱くなって、息を吸うことすら忘れそうになった。