【番外編追加】ロマンスに、キス
一千華の地雷はたぶん“かわいい”で、俺が少しでも間違えれば一瞬でむくれるし、正解を叩き出せば嬉しそうにする。
そんなの、ずるいだろ。
でも、俺が思う一千華の「かわいい」は、一千華自身が思ってるそれとは、たぶんだいぶズレてる。
作った笑顔とか、計算された仕草とか、完璧に整えた「かわいい」よりも――
泣いてるときの、情けない顔とか。
怒ってるときの、遠慮なく感情をぶつけてくる顔とか。
でけー口開けて、無防備にあくびしてる瞬間とか。
そのくせ、飯を食うときだけは、わざとらしいくらい小さく口を開けるところとか。
なんなんだよ、それ。
どっちなんだよ。
一回キスしたら、なぜか止まらなくなって、「佐野は、もう一回したそうだね?」って、俺がねだったみたいな言い方をされるのもそうだ。
完全にそっちの都合なのに、いつの間にか、俺のせいみたいにされてる。
自分の思い通りにならなかったときは、「そうだよね? そうって言って!」って、半分命令みたいにわがままを押し付けてくる。
……まだまだある。
数えきれないくらい。
たぶん、全部めんどくさい。
でも。
そういうところが、俺にとっては、どうしようもなくかわいくて、仕方がない。