ロマンスに、キス
胸の奥が熱くなって、思わず、声を吐き出す。
「……あたし、佐野とは遊ばない」
勢いで出たその言葉は、思った以上に重くて、心臓をギュッと掴まれたみたいにズキッと痛む。
……どうして、こんなに動揺してるんだろう。
自分でも、少し悔しいくらいだった。
「なんで?」
短く落とされたその一言が、胸の奥に突き刺さる。
責めるようでも、怒っているようでもない。ただ、純粋に理由を知りたいだけの声。
それが余計に、逃げ場をなくす。
……どうせ。
あたしの気持ちなんて、どうでもいいんでしょ。
遠慮もなく、ズカズカ心の中に踏み込んでくるところ。
距離感の取り方を知らないところ。
ほんと、嫌い。
さっきの子とカラオケに行けばいいじゃん。
あんなふうに腕に触れて、笑って、楽しそうにしてくれる子と。
あたしなんて、いなくてもいい。
最初から、必要じゃなかったでしょ。
胸の奥がきゅっと縮んで、思わず視線を逸らす。
でも、このまま黙るのは、もっと嫌だった。