ロマンスに、キス



「一千華ちゃん、クリームついてるよ」



そう言われて、わざとらしく目を瞬かせる。



「うそ~。とって?」



自分でもわかってる。
たぶん、優くんはこういうのが好きだ。計算されたかわいさ。ちょっとあざとくて、守ってあげたくなる女。

優くんは「しょうがないな」って笑って、ティッシュであたしの口元のクリームをそっと拭ってくれる。指先が近くて、でも触れない距離感。


周りからどう見えてるかなんて、考えなくてもわかる。
どこからどう見ても、だれが見ても、ラブラブなカップル。

視線を感じるたび、あたしは胸の奥で、静かに満足する。


やっぱり、あたしにはこれが合ってる。
優しくて、否定しなくて、欲しい言葉を、欲しいタイミングでくれる。
甘やかしてくれて、「かわいい」を惜しみなく与えてくれる男の子。


あたしには、優くんみたいな人がふさわしい。





そう、思った瞬間だった。


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